トランス脂肪酸とは、脂質の構成成分である不飽和脂肪酸の一種で、過剰摂取すると心疾患(心筋梗塞など)のリスクを高めることが知られている成分です。
●トランス脂肪酸の主な特徴と種類
トランス脂肪酸には、大きく分けて「人工のもの」と「天然のもの」の2つの由来があります。 [1]
- 人工のトランス脂肪酸:植物油に水素を添加して固形にする過程(マーガリンやショートニングの製造など)や、植物油を高温で精製する工程で発生します。
- 天然のトランス脂肪酸:牛や羊などの反芻(はんすう)動物の胃にいる微生物の働きによって作られ、牛肉や牛乳、バターなどの乳製品に微量含まれます。
●健康への影響
世界保健機関(WHO)などの研究により、トランス脂肪酸を多く摂りすぎると、血液中の悪玉(LDL)コレステロールが増加し、善玉(HDL)コレステロールが減少することがわかっています。これにより血管が詰まりやすくなり、動脈硬化や冠動脈性心疾患のリスクが高まります。
●日本における現状
海外では厳しい法的規制や全面禁止の措置を取っている国もありますが、日本では以下の理由から規制されていません。
- 日本人の摂取量は基準内:WHOは摂取量を総エネルギーの「1%未満(1日約2g)」に抑えるよう推奨しています。一方、日本人の平均摂取量は約0.3%(約0.7g)に留まっており、通常の食生活であれば健康への影響は少ないと考えられています。
- 食品メーカーの削減努力:近年、国内の農林水産省による企業への働きかけや技術向上により、市販のマーガリンや菓子パンに含まれるトランス脂肪酸の量は劇的に減少しています。
注意すべきポイント
現在の日本ではトランス脂肪酸単体よりも、お肉の脂身や加工食品に多く含まれる「飽和脂肪酸」の過剰摂取の方が、日本人の摂取基準を超えており健康リスクとして問題視されています。ただし、普段から揚げ物やラーメン、スナック菓子、菓子パンばかりを好んで食べるなど、偏った食生活をしている場合はトランス脂肪酸の摂りすぎにも注意が必要です。
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