最近、質問が増えている
男性の高熱曝露は、Garollaらによっておこなわれた研究がよく引用されます。
精子の数と運動性が一過性に減少していること、精子のミトコンドリア機能やDNAダメージの障害がおこっていることを報告しています。
サウナを止めてから6ヶ月後には、精液所見は正常に戻りました。
ジャグジー、お風呂の湯船の高熱曝露の既知の既往歴を持つ男性の精液所見をShefiら(Int Braz J Urol 2007)は評価し報告しています。
3ヶ月の間、週30分ジャグジー、お風呂の湯船につかる行動を自粛すると精液所見が改善するとしておりますが、症例数が少ないため真偽のほどはわかりません。
サウナは少なからず精液所見を悪化させることがわかっていますが、妊娠しづらくなるかどうかまでの長期フォローアップの報告はありません。
しかし、妊娠していない状況で精液所見が悪いのであれば改善するのがよいのでは?と思っています。
したがって、「サウナにどの程度はいったら精液所見が悪くなりますか?」という今回のご質問に対して私の調べた範囲の答えとしては、「精液所見が悪いのであれば、時間を減らすのではなくサウナを中断してみるのが良いかもしれません。長風呂をやめたほうがよいかどうかはわかりません。
参考になさってください。論文紹介
参考とした論文を紹介します。
『Seminal and molecular evidence that sauna exposure affects human spermatogenesis』
https://academic.oup.com/humrep/article/28/4/877/653255
フィンランドのサウナに暴露された10人の被験者から、サウナ前、サウナに暴露中、サウナ中断後のデータを収集した。
10名の正常精子ボランティアを対象に、週2回のサウナ(80~90℃)を3ヶ月間、15分行いおこない、性ホルモン、精液所見、精子クロマチン構造、精子アポトーシス、熱ストレスと低酸素に関与する遺伝子の発現を、サウナ暴露開始時、サウナ暴露終了時、サウナ中止から3ヶ月後と6ヶ月後に評価しています。
結果
精子のDNAダメージを表す正常なヒストンプロタミン置換、クロマチン抱合、ミトコンドリア機能の割合の低下も明らかであり、熱ストレスと低酸素への反応に関与する遺伝子発現がふえていました。ただし、サウナを中断するとサウナ前に改善しています。
これらのことからサウナを通しての高熱への暴露は可逆的な障害をおこしていることが同定されました。
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