こんにちは。
本日はビタミンⅮについて。
『不妊治療(妊娠)とビタミンDの深い関係について』
ビタミンDと妊娠について、英ウィメンズクリニックのブログからご紹介します。
https://www.hanabusaclinic.com/weblog/2018/02/28/
ビタミンDは脂溶性のビタミンであり、骨の健康を保つのに働いていることが知られています。近年になり、免疫力アップ効果やガン、糖尿病、自閉症、そして妊娠しやすい身体を作るのにビタミンDが有効であることが分かってきました。
【ビタミンDと妊娠能】
ビタミンD受容体(VDR:Vitamin D Receptor)は精巣や卵巣といった生殖器にも分布しており、妊娠の成立にビタミンDが深く関わっていることで関心を集めています。
その一部をご紹介します。
・ 卵子の供給量の指標であるAMH(抗ミュラー管ホルモン)値との相関性
・ 多嚢胞性卵巣(PCOS)の改善が期待
・ 着床時に必要になる遺伝子(HOXA10)発現を誘導
・ ビタミンD欠乏と妊娠高血圧や妊娠糖尿病などのリスク関連
・ ビタミンD不足患者に比べて適度なビタミンD濃度では良好な精液所見が多い
など、男女ともにビタミンDと生殖能には深い関連があることが分かってきています。
では【どうやって体内ビタミンDを増やす?】
ビタミンDの摂取経路には2通りあります。
①食物からの摂取
魚介類やキノコ類、卵などに多く含まれています。
ビタミンDは脂溶性ビタミンですので、脂質を含む動物性食品から摂取したほうが吸収されやすくなります
[例:キノコ類ならソテーにするなど]。
②太陽(紫外線)を浴びることで体内生成
皮膚が紫外線を浴びることでビタミンDの素を生成します。
(注)日焼けマシンの利用もビタミンDを生成しますが、日光暴露と同様に皮膚ガンのリスクにもなります。
いずれの経路も肝臓→腎臓の経路を通ることで、活性化ビタミンDに変換され、機能することになります。ライフスタイルなどの都合も含め、日光浴が難しい場合は、意識して食事から摂取することが大切です。
【注意点】
多量のビタミンD摂取を続けると高カルシウム血症や腎障害などが起こる可能性が知られています。サプリメントによるビタミンD補充を行っている方は、摂取量にもお気をつけ下さい。厚生労働省の発表では、ビタミンD毒性の原因はほぼ例外なくサプリメントの過剰摂取としています。
また、『日本人の食事摂取基準(2015年版)』では、成人男女のビタミンD摂取目安量を5.5µg/日(妊婦は7.0µg/日)、耐容上限量を100µg/日としています。
『ビタミンD濃度が高いほうが妊娠成績は良くなる』
今回は、『ビタミンDと妊娠成績』について包括的に検討した論文をご紹介したいと思います。
Chu J et al. Vitamin D and assisted reproductive treatment outcome: a systematic review and meta-analysis.Hum Reprod. 2018; 33: 65-80.
体外受精とビタミンDに関する11論文2700名のデータを基にmeta-analysis(補足説明参照)による解析を行っています。
記載されている結果を簡潔にまとめると、以下の通りです 論文数 患者数 オッズ比(95% CI)化学妊娠率 5報 1700名 1.34倍 (1.04-1.73)
臨床妊娠率 11報 2700名 1.46倍 (1.05-2.02)
流産率 6報 1635名 1.12倍 (0.81-1.54)
出産率 7報 2026名 1.33倍 (1.08-1.65)(結果の見方[例]:出産率)
7報の論文(計2026名)を解析した結果、ビタミンD摂取が『不十分/不足している群』に比べて、『十分な群』では出産率が1.33倍高い
結果をまとめると、胚移植後の妊娠成績(化学妊娠、臨床妊娠、および出産)において、ビタミンD濃度が『不十分/不足している群』に比べて『十分な群』では、体外受精における妊娠率が有意に高くなることを示しています。一方で、流産率に差は認められませんでした(95% CI: 0.80-1.54)。
【最後に】
論文内では生殖可能年齢にあたる20-52%の女性において、ビタミンDが不十分な状態であることが紹介されています。
ライフスタイルによっては、食事や日光浴だけでは摂取量が不足している可能性があります。当院(英ウィメンズクリニック)では医師の指導のもと、サプリメントによる治療も行っています。
【補足説明】
(*1)
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