切迫流産、切迫早産、超低出生体重児出産について(ドラマ「コウノドリ」)

こんにちは。英ウィメンズクリニックサプリメントサポートセンター
センター長の山口庸仁です。
今日は昨日ドラマを見られて息を詰まらせ涙した方も多いと思います(私も年甲斐もなく涙してしまいました(T_T))
2015/11/06放送の産婦人科をテーマにしたドラマ「コウノドリ」で切迫流産、切迫早産、超低出生体重児出産が取り上げられましたので
日本産科婦人科学会のデータを元に切迫流産、切迫早産、超低出生体重児出産について書きます。

 

 

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流産
昨日のドラマでもありましたが流産とは、妊娠21週6日までの時期に胎児がきちんと育たず成長が止まってしまったり、子宮の外に出てきてしまう事を言います。
流産の日本産科婦人科学会の定義では
22週(赤ちゃんがお母さんのお腹の外では生きていけない週数)より前に妊娠が終わることをすべて「流産」といいます。妊娠12週未満の早い時期での流産が多く、流産全体の約80%を占めます。
[頻度]
妊娠の15%前後が流産に至るとの統計もあり、多くの女性が経験する疾患です。
ですので英ウィメンズクリニックでは患者様が無事に妊娠され不妊専門クリニックから産科のクリニックに転院されるのは妊娠12週目頃までとなっています。(例外もあり・・・)
では流産とはどんなものでしょうか?
流産の分類
流産を大きく分類すると、
 
切迫流産、稽留流産、進行流産、不全流産、完全流産、化学流産
の6種類に分類します。
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切迫流産

女性器の出血や腹痛が合図で、流産の可能性が高まっている状態のことを切迫流産といいます。軽度なものを含めると、初期の段階で20~30%の方が経験しますが、必ずしも流産につながりません。流産の始まりの症状として気をつけたい状態です。

稽留流産

受精卵や胎児がすでに死亡しているにも関わらず、子宮内に留まっている状態をいいます。症状が出ないため、自覚症状で流産と気づくのは難しく、医師の判断が必要です。 感染症を起こさないよう、手術が必要な場合も多くあります。

進行流産

子宮口が開き、流産が始まってしまうことをいいます。数分のうちに胎児が外に流れ、進行が確定してしまうと止める術はなく、不全流産か完全流産のどちらかになります。

不全流産

不全流産とは、出血があった際に子宮内のものが一緒に排出され、一部が残ってしまうことをいいます。子宮内に一部が留まるため出血が続き、子宮内をきれいにするための手術が必要になります。陣痛のような強い腹痛を伴います。

完全流産

完全流産とは、子宮内のものがすべて流れ出てしまうことをいいます。こちらも陣痛のような強い腹痛があり、大量の出血を伴います。

化学流産

化学流産とは受精はして妊娠検査薬で陽性が出たものの、着床が長く続かなかった状態をいいます。妊娠が確定しているわけではないため、医学的に流産と分類されるわけではありません。
妊娠12週以前に起きる流産は、胎児の染色体異常が主な原因で、妊婦さんの努力では防ぐことが難しいといわれています。
 
早産、切迫早産
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早産

早産とは日本産科婦人科学会の定義では
正期産(妊娠37週0日~妊娠41週6日まで)以前の出生をいいます。日本では妊娠22週0日~妊娠36週6日までの出産を早産と呼びます。妊娠22週未満の出産は流産といい、早産とは区別されます。国による医療技術の違いにより、妊娠24週以降や、妊娠28週以降に出産しなければ、早産として扱わない国も多くあります。
妊娠22週で生まれた場合、早産となりますが赤ちゃんの体重は500g前後で長期間の新生児医療(NICU新生児集中治療室での治療)が必要となり、また、小さく生まれた赤ちゃんほど、後で重篤な障害が出現する可能性が高くなります。
最近では、妊娠34週以降の、正常の分娩時期に近い早産であっても、呼吸障害など長期に障害を残すことが報告されています。ですから、早産にならないように妊娠中、定期的な健診を受けていただき、早産になりやすい状況の早期診断と予防が必要になります。ちなみに早産は全妊娠の5%に発生し、その原因は感染や体質によることが多いといわれています。また、妊娠高血圧症候群、前置胎盤(胎盤が子宮口をふさいでいる状態)、常位胎盤早期剥離(分娩前に胎盤が子宮の壁からはがれてしまうこと)、胎児機能不全(胎児の元気がなくなってくる状態)などでは子宮内では赤ちゃんが生きられない状態になり、人工的に早産とせざるを得ない場合もあります。

切迫早産

切迫早産とは日本産科婦人科学会の定義では
早産になりかかっている状態、つまり早産の一歩手前の状態を切迫早産といいます。子宮収縮が頻回におこり、子宮の出口(子宮口)が開き、赤ちゃんが出てきそうな状態や破水(子宮内で胎児を包み、羊水が漏れないようにしている膜が破れて、羊水が流出している状態)をしてしまった状態のことです。
(昨日のドラマ「コウノドリ」では羊膜が破れ破水し切迫早産となりましたね)
切迫早産の治療では、子宮口が開かないようにするために、子宮収縮を抑える目的で子宮収縮抑制剤を使用します。また、切迫早産の原因である細菌による腟内感染を除去するために抗生剤を使用することもあります。子宮収縮の程度が軽く、子宮口があまり開いていない場合は外来通院による治療でもいいのですが、子宮収縮が強く認められ、子宮口の開大が進んでいる状態では、入院して子宮収縮抑制剤の点滴治療が必要です。
妊娠32週より前に破水した場合は、赤ちゃんが自分で呼吸できる状態になるまで抗菌剤を投与し感染を抑えることが一般的です。妊娠34週以降であれば、赤ちゃんは自分で呼吸できる可能性が高いので、赤ちゃんに細菌が感染する前に出産し、生まれた後に治療室での治療を行います。
また、子宮口が開きやすい体質を子宮頸管無力症といい、どんどん子宮口が開大し、流産や早産になるので状況により頸管(子宮の出口)をしばることがあります。これを子宮頸管縫縮術といいます。

超低出生体重児出産

「超低出生体重児」。通常赤ちゃんは2800~3200グラムの間で生まれてきますが、1000グラム未満で生まれた小さな赤ちゃんのことをこう呼びます(以前は超未熟児と呼ばれていました)。
ちなみに
低出生体重児・・・2500グラム未満
極低出生体重児・・・1500グラム未満
超低出生体重児・・・1000グラム未満 
NICU(新生児集中治療室)に生まれてすぐ入れられます。かつては生まれてきた命が救えるかどうか危ぶまれたのですが、医学の進歩により、ここ10年ほどで超低出生体重児の約8割が助かるようになりました。
しかしその反面、超低出生体重児にはたくさんのリスクが伴います。

超低出生体重児が初めて迎えるハードルとは?

平均よりもかなり小さく生まれた赤ちゃんが健康に育つための第一関門は、出生体重に戻ることだといわれています。赤ちゃんは出生してからの数日間は水分の蒸発や排泄で体重が減ります。これは生理的体重減少と呼ばれる自然な現象ですが、超低出生体重児はそうでない赤ちゃんと比べて体重増加が緩やかなため、生理的体重減少から体重を増やすのに時間がかかります。
生まれて1週間が超低出生体重児が生きるための1つ目の大きなハードルになります。
2500グラム以上で産まれた赤ちゃんは1週間ほどで出生体重に戻りますが、超低出生体重児の場合は2週間から1ヶ月ほどかかるといわれます。

超低出生体重児の発育は?

低出生体重児の認知能力に関して、学齢に達した超低出生体重児の知能指数の平均値は正期産児と比べてやや低いという研究結果がでています。また、身体発育においても超低出生体重児は運動を苦手とする子が多いといわれています。しかし、発育に重大な影響を及ぼす合併症を引き起こしていなければ、多くの赤ちゃんは遅めのペースながらも正期産児と同じように成長することができます。

超低出生体重児に見られる障害・後遺症は?

未熟児は体の機能が未熟な状態で産まれてくるため、障害が残るリスクがあります。特に超低出生体重児はリスクが高く、脳性麻痺や精神発達遅延、視力障害などさまざまな障害が出る可能性があります。発生する障害の程度や種類は異なりますので、専門家と相談しながら適切な治療やリハビリをする必要があります。

超低出生体重児で生まれても1歩ずつ前に

小さすぎる赤ちゃんを見ると、お母さんは不安と心配でいっぱいになってしまいますね。しかし、何より大切なのは赤ちゃんを信じてあげることです。赤ちゃんの生命力はお母さんが思っている以上に強いのですよ。前をむいて1歩ずつ、少しずつ赤ちゃんとともに進み成長を見守っていきましょう。

 

データ引用元:公益社団法人 日本産科婦人科学会  http://www.jsog.or.jp/index.html

英ウィメンズクリニックサプリメントサポートセンターでは流産や早産の予防のためのカウンセリングやご相談も承っております。

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